[図説]ふるさと納税の確定申告書の書き方と記入例

★ お気に入りに追加
農地 ふるさと

 市区町村などの各自治体にお金を寄付して返戻品等を受け取る、ふるさと納税。ふるさと納税をすると、所得税や住民税が控除されます。

実はこのふるさと納税、税金の控除を受けるには2つの方法があり、方法を間違えると税金の控除を受けられない可能性もあります。ここでは、確定申告を中心にふるさと納税の控除を受ける方法について解説します。

1.ふるさと納税の概要

ニュースや新聞などでは返戻品のことが良く取り上げられますが、ふるさと納税とは、市区町村などの各自治体にお金を寄付することにより、地方を活発化させることを目的とした寄付金控除です。上限はありますが、原則、実際に寄附した金額から2,000円を差し引いた金額の全額が、所得税と住民税から控除されます。

このふるさと納税は、お金を寄付するだけでは控除を受けることができません。控除を受けるために、自分で手続きを行う必要があります。

関連記事
田舎
ふるさと納税のメリット、所得税・住民税の控除、手続き方法
 ふるさと納税は、個人負担額2,000円を除いた全額を所得税・住民税から控除できる、大変お得な制度です。 …

2.控除を受けるための手続き

では、控除を受けるための手続きを見ていきましょう。ふるさと納税で税金の控除を受けるための手続きには「ふるさと納税ワンストップ特例制度」と「確定申告」の2つがあります。

ワンストップ特例制度は、確定申告を行わなくてもふるさと納税の控除を受けられる制度です。ただし、ワンストップ特例制度を利用できるのは、確定申告をする必要のないサラリーマン等で、1年間の寄付先が5自治体以下である場合のみとなります。

2-1.ふるさと納税ワンストップ特例制度の手順

①ふるさと納税ワンストップ特例の申請書の提出

各自治体にお金を寄付したとき、またはその後に、ふるさと納税ワンストップ特例の申請書(税額控除の申告特例申請書)が送られてきます。この申請書に必要事項を記載し、寄附した自治体に提出します。マイナンバーや本人確認書類も必要となるので、注意しましょう。

②住民税の控除

ワンストップ特例制度を利用したときは、所得税からの控除はありません。所得税分も合わせて、翌年度分の住民税が減額される形で控除されます。住民税の申告の必要はなく、自動で控除額が計算され控除されます。

2-2.確定申告が必要な人

では、確定申告をして、ふるさと納税の控除を受ける人はどのような人でしょうか。それは、ふるさと納税ワンストップ特例制度を適用できない人です。

例えば、個人事業主はそもそも確定申告をする必要があるので、ふるさと納税の控除は確定申告で行います。
また、サラリーマンであっても、医療費控除や初めて住宅ローン控除を受ける人などは確定申告をする必要があるので、こちらもふるさと納税の控除は確定申告で行います。

特に確定申告が必要なサラリーマンは、ワンストップ特例制度を申請していたとしても、確定申告でふるさと納税の控除(寄付金控除)の記載を忘れると、控除を受けることができないため注意が必要です。

3.所得税の寄付金控除を受けるための確定申告

ここでは、具体例を交えて、所得税の寄付金控除を受けるための確定申告について見ていきましょう。

【例】サラリーマンで年収500万円、扶養家族は妻と中学生の子ども2人の場合で、4万円のふるさと納税をした場合

(前提:給与所得額346万円、1年間に給料から天引きされた源泉所得税18万円。わかりやすくするため、生命保険や社会保険などの控除はなしとします)

①寄付金受領証明書の用意

ふるさと納税をすると、寄附した自治体から「寄付金受領証明書」が届きます。こちらにふるさと納税をした金額が記載されているので、その数字を使って寄付金控除の計算をします。
【例】の場合は4万円と記載されています。また、寄付金受領証明書は確定申告に添付して、税務署に提出する必要があります。

②寄付金控除額の計算

次に寄附金控除額の計算を行います。確定申告書に記載する寄附金控除額は、以下の表にあてはめて計算します。

確定申告手引き 寄付金

A 寄付金
寄付金受領証明書の額4万円を記載します。
確定申告手引き 寄付金

B 第一表の⑤所得金額の合計額(退職所得がある場合は合算する)を記載します。【例】の場合は、346万円です。
確定申告手引き 寄付金

C 所得税の寄付金控除の上限は、所得金額の合計額の40%です。そのためB×0.4の金額を記載します。
【例】の場合は、346万円×0.4=1,384,000円です。
確定申告手引き 寄付金

D AとCのいずれか少ない金額を記載します。【例】の場合は4万円です。
確定申告手引き 寄付金

E 寄付金控除額を計算します。計算式は、D-2,000円です。
【例】の場合は、4万円-2,000円=38,000円です。
確定申告手引き 寄付金

③寄付金控除額の確定申告書への記載

寄付金控除額の計算が終われば、次に確定申告書へ記載します。ここでは、ふるさと納税について確定申告書への記載箇所について見ていきましょう。

確定申告書A 寄付金

・第一表
⑲寄付金控除…上記で計算した寄付金控除額38,000円を記載します。
確定申告書A 寄付金控除・第二表
⑲寄付金控除…ふるさと納税した自治体名と、寄附した金額4万円を記載します。
確定申告書A 寄付金控除

住民税に関する事項
寄附金税額控除の「都道府県、市町村分」の欄に寄附した金額4万円を記載します。
確定申告書A 寄付金控除

④税額の計算

寄附金控除について必要事項の記載が終わったら、税額の計算をします。
税金の計算のためには、まずは税金の計算の対象となる「課税される所得金額」を求める必要があります。課税される所得金額は、所得金額-所得控除金額で求めます。

【例】の場合、所得金額は給与所得額の346万円です。所得控除金額は、基礎控除38万円と配偶者控除38万円、そして寄付金控除38,000円です。(中学生は扶養控除に該当しません)

課税される所得金額=所得金額346万円-(基礎控除38万円+配偶者控除38万円+寄付金控除38,000円)=2,662,000円

次に所得税額の計算です。所得税額は、課税される所得金額に税率を乗じて計算します。課税される所得金額が2,662,000円の場合は、「税率10% 控除額97,500円」です。

所得税額=課税される所得金額2,662,000円×税率10%-控除額97,500円=168,700円

平成49年12月31日までは、所得税のほかに復興特別所得税が課されます。復興特別所得税は所得税の2.1%です。今回のケースでは、所得税額は168,700円×2.1%=3,542円です。

では、以上の情報をもとに、確定申告書第一表の税金計算欄の書き方を見ていきましょう。

㉑㉒㉜㉞㉟上記で計算した数字を以下のように記入します。

確定申告書A 寄付金控除 計算例

㊱所得税及び復興特別所得税の額…168,700円+3,542円=172,242円

確定申告書A 寄付金控除 計算例

㊳所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額…1年間に給料から天引きされた源泉所得税の18万円を記載します。

確定申告書A 寄付金控除 計算例

㊱(所得税及び復興特別所得税の額)と、㊳(所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額)の差額が納付または還付されます。今回のケースでは、天引きされた源泉所得税の方が大きいので還付となります。
㊵還付される税金…18万円-172,242円=7,758円

確定申告書A 寄付金控除 計算例

還付が発生する場合は、振込先銀行名や口座番号等の情報を記載します。

確定申告書A 寄付金控除 計算例

「住民税に関する事項」に必要事項を記載して確定申告をすると、住民票がある市区町村と情報が共有されます。そのため、別で手続きをする必要がなく住民税からも控除されます。

結果的に、寄付金40,000円のうち、実質的な自己負担額は2,000円で、所得税と住民税からそれぞれ控除されます。確定申告書A 寄付金控除 計算例

インターネットに慣れている方なら、e-Taxが便利です。e-Taxを利用すれば、申告書を紙で提出する必要がないだけでなく、寄付金受領証明書も添付不要です。

関連記事
確定申告書作成コーナー
e-Taxの事前準備と必要なもの
1.パソコンを利用して電子申告 税金の申告といえば税務署に行ってたくさんの書類に記入して提出する、というイメージを持…

4.控除される時期と方法

ふるさと納税をした場合、所得税と住民税では控除される時期や方法が異なります。

所得税の控除は、寄附をした年度の所得税から控除されます。還付がある場合は3月~4月ぐらいに、確定申告書に記載した指定口座に振り込まれます。

住民税の控除は、寄附をした翌年の6月以降に納付予定の住民税から控除されます。住民税では還付はありません。ワンストップ特例を利用すると、所得税控除はなく、住民税からまとめて控除されます。

5.よくある質問

ここからはふるさと納税でよくある質問について見ていきましょう。

Q.1:寄付金受領証明書を失くしてしまったら?

寄付金控除を受ける場合には、確定申告書に寄付金受領証明書の添付が必要です。もしも寄付金受領証明書をなくしてしまったら、ふるさと納税をした自治体に再発行の手続きをする必要があります。再発行の手続きは各自治体により異なるので、まずは自治体にどのような手続きをすればよいか、問い合わせをしましょう。

Q.2:妻の名前でふるさと納税をしたものは控除できるのか?

寄附金控除は原則、納税者が寄付した場合に受けられる控除のため、妻の名前でふるさと納税をしたものは控除できません。ふるさと納税を申し込む場合ときに注意してください。

Q.3:ワンストップ特例を利用中に、寄付した自治体が6以上になったので、確定申告に切り替えることは可能か?

こちらは可能です。6団体以上にワンストップ特例を申請した場合は、ワンストップ特例を申請しても適用されません。その代わり、確定申告をすれば寄付金控除を受けられるようになります。

GoogleAdsense

この記事が役に立ったらシェアしてください!

あなたへおすすめの記事