確定申告・年末調整の手続きが簡単に!電子化でどう変わる?

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税務行政のスマート化を目指して、年末調整・確定申告の電子化及び改善の検討が進められています。
この検討内容が実現化した場合には、現在のe-Taxにおける利用しにくい部分が改善され、手続きがより簡単になる予定です。

1.年末調整・確定申告の現状

現状、年末調整や確定申告はどのように行われているのでしょうか。

年末調整は、まず税務署から会社に年末調整書類(扶養控除等申告書、保険料控除申告書兼配偶者特別控除申告書など)が郵送され、それを会社が全社員に配布します。配布された社員は、それぞれの申告書に必要事項を記入し、自宅に郵送されてきた各控除証明書を申告書に添付し、会社に提出します。提出を受けた会社はそれを元に年末調整処理を行います。

確定申告は、年末調整だけでは所得税の精算が済まない会社員、自営業者、年金所得者など様々な人が行う必要がある手続きです。その年分の所得を元に確定申告書を作成し、税務署に提出及び納税します。
申告書の提出及び納税は、2004年からe-Tax(※)の運用が開始されており、申告書は書面による提出と電子的データによる提出、どちらでも行えるようになっています。

※e-Taxとは、所得税などの申告や納税、申請や届出など国税に関する各種手続きについて、インターネットを利用して電子的に手続きが行えるシステムです。

このような年末調整と確定申告の手続き方法には、次のような問題点があります。

1-1.年末調整における社員と会社の負担

現在の年末調整の方法は、社員と会社の両者にとって大きな負担となっています。
社員は、自宅に別々に送られてくる各種控除証明書(生命保険料控除証明書、地震保険料控除証明書、社会保険料控除証明書、住宅ローン残高証明書など)を申告書の提出まで保管し、申告書を作成し、保管していた書類を添付し、会社に提出しなければなりません。
会社は、それらを精査し、社員1人1人の年末調整処理を行わなければなりません。社員数が100人、1,000人単位の会社ともなれば、年末調整にかかってくる費用と時間は膨大なものになるでしょう。
年末調整の効率的なシステムを導入し、社員と会社の負担を減らす必要があります。

1-2.個人におけるe-Tax利用率の伸び悩み

所得税申告における個人のe-Tax利用率は、2006年から5年程は急激に伸びていますが、それ以後は50%前後で頭打ちとなっています。

年度 利用率
2004年 0.0%
2005年 0.2%
2006年 2.5%
2007年 18.4%
2008年 31.1%
2009年 39.7%
2010年 43.7%
2011年 47.3%
2012年 50.4%
2013年 51.8%
2014年 52.8%
2015年 52.1%

e-Taxを利用しない理由について、国税庁が行った「国税電子申告・納税システム(e-Tax)のアンケート」によると、次のような回答がありました。

  • ICカードリーダライタの取得に費用や手間がかかる。
  • 電子証明書の取得や更新に費用や手間がかかる。
  • セキュリティに不安があり、インターネットでのオンライン申請に抵抗がある。
  • 添付書類の一部について書面提出が必要な場合があり、e-Taxだけでは完結しない。
  • 税務署で申告の内容を確認したい。

e-Tax自体は便利なシステムではありますが、e-Taxを行うための事前準備が面倒だったり、e-Taxで申告したのに税務署へ行かなければならないなど、不合理な部分もあります。
今以上にe-Taxを普及させるためには、上記問題点の改善が必要不可欠です。

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2.改善予定の内容

年末調整や確定申告は、今後どのように改善されていく予定なのでしょうか。
具体的な改善内容を確認していきましょう。

2-1.マイナポータルを利用し、各種控除証明書をネット上で確認

控除証明書を発行する各機関(保険会社、銀行など)は、控除証明書に関する情報をマイナポータル※に通知します。
それを本人と会社が確認することができ、更に本人がその控除証明書を用いて簡便・正確に申告書を作成し、雇用主の会社に対して電子的に提出することを可能にする仕組みを作ります。

※マイナポータルとは、別名「情報提供等記録開示システム」といい、主にマイナンバーに関連した個人情報を自ら確認できるポータルサイトのことをいいます。
利用者は、ネット上で自分の社会保険料などの納付状況や、行政機関が自分のマイナンバーに関わる情報をどのように取り扱ったかなどを確認することができます。2017年11月13日から本格運用が開始されています。

【外部サイト】マイナポータル

2-2.e-Tax利用の認証手続きの簡素化

e-Taxにおける本人確認方法は、電子署名・電子証明書の送付が基本であり、一定の範囲に限ってはIDとパスワードにより行われています。
今後はこれを、個人納税者がマイナンバーカード(電子証明書を標準的に搭載予定)を使ってe-Taxを利用する場合には、IDとパスワードの入力を省略できるようにします。
マイナンバーカードを持っていない人については、厳格な本人確認に基づき税務署長が通知したIDとパスワードのみでe-Taxが利用できるようにします。

3.既に実施されている改善

この税務行政のスマート化の取り組みは、既に実現されている改善もあります。

3-1.住宅ローン控除申告における住民票不要

2016年分確定申告から住宅ローン控除申告について、国と地方の情報連携により住民票の添付が省略されました。

3-2.「医療費のお知らせ」で医療費控除が可能

2017年分確定申告から医療費控除を受ける為に必要な添付書類は、医療機関からの領収書に代えて、医療費等の明細書(健康保険組合などの各保険者から提供される医療費通知等で、よく「医療費のお知らせ」などと書いてあります。)になりました。
また、医療費通知等を申告書に添付する場合には、医療費控除の明細書への記入を省略することができますので、明細書に記入するのは医療費通知等に記載されていない医療費のみで済みます。

これにより、医療機関を受診するたびに貰う領収書をすべてまとめる必要がなくなり、保険者から送られてくる医療費通知等で、簡単に医療費控除を受けることができるようになったのです。ただし、「医療費のお知らせ」に記載されていない医療費は、別途、明細書に記入する必要があります。

e-Taxにより医療費控除を受ける場合には、保険者が提供する被保険者向けウェブサイトにログインし、医療費通知をダウンロードした後、e-Taxへデータを送信するようになります。

3-3.選べる納付方法

所得税の納付方法は、納税者のニーズに合わせて4つ設けられています。

3-3-1.現金

現金と納付書を使って、金融機関や所轄税務署で納めます。
納税額が30万円以下である場合には、コンビニでも納めることができます。コンビニ納付の場合には、バーコード付きの納付書が必要になりますので、バーコードがない場合には税務署へ連絡して送付して貰いましょう。

3-3-2.口座振替

金融機関の預金口座を指定することにより、振替納税を行うことができます。利用する場合には、期限までに口座振替依の頼書を提出する必要があります。

3-3-3.電子納税

e-Taxにより申告した場合、事前の税務署へ届出等によりダイレクト納付とインターネットバンキングによる電子納税を選択することができます。
インターネットバンキングには、登録方式と入力方式の2つの方法があります。

  • ダイレクト納付…e-Taxを利用して電子申告等または納付情報登録をした後に、届出をした預貯金口座からの振替により、クリック操作で即時または期日を指定して納税する方法です。
  • 登録方式…e-Taxを利用して納付情報データを作成し、登録することにより、登録した納付情報に対応する納付区分番号を用いて納税する方法です。
  • 入力方式…登録方式のような登録作業は行わず、代わりに自分で納付目的コードを作成し、納税する方法です。

3-3-4.クレジットカード

一番新しい納税方法で、2017年1月より利用が開始されました。
「国税クレジットカードお支払いサイト」にて、納付情報とクレジットカード情報を入力し、クレジットカード決済にて納税する方法です。
また、2017年6月より、e-Taxから「国税クレジットカードお支払サイト」へのアクセスが可能となり、この場合には、住所氏名や税金種類などの入力が不要になります。

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3-4.給与天引きする住民税の企業への通知を電子化

月々の給与から天引きする住民税は、地方自治体から特別徴収義務者である会社へ通知されます。
従来は書面に行われていましたが、2016年5月より通知の電子化が行われています。

4.まとめ

ネット社会の発展により、税務行政は今以上のスマート化が可能となっています。
今回ご紹介した改善内容が実現すれば、多くの時間と労力、費用を削減することができるでしょう。

特に年末調整の電子化による雇用主の負担減は大きく、企業は今まで年末調整に費やされてきた時間や労力を他に回すことができるようになります。
また、簡単に申告納税を行うことができるようになれば、国側においても税収の向上に繋がるなどのメリットがあります。
検討議論が順調に進み、早急に実現することを願うばかりです。

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