交通費はどこまで医療費控除の対象になる?

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バス 交通

確定申告での医療費控除をご存知の方は多いと思いますが、病院に通うための交通費も控除できるというのは案外知られていないのではないでしょうか?
たとえ知っていたとしても、どこまでが控除できる交通費の対象なのか、明確に把握している人は少ないと思います。

今回は医療費控除に含めることができる交通費の金額について、法律上のルールや実際に作業を行う際に知っておくと便利なポイントについて解説させていただきます。

1.医療費控除について

まずは医療費控除の仕組みについて簡単に確認しておきましょう。
医療費控除というのは、1年間に医療機関に対して支払った医療費の支出が一定額を超える場合、所得税の負担を小さくしてもらうことができる仕組みのことです。
具体的には、年間での支払額が10万円を超える際には医療費控除を行うことで税金の負担を一部小さくすることができますから、該当する方は必ず確定申告を行うようにしてくださいね。
医療費控除の計算は、具体的には以下の計算式に基づいて行います。

医療費控除の金額=(支出した医療費-受け取った保険金など)-10万円

上で計算した医療費控除の金額は、総所得金額から控除されるという形で節税に役立ちます。

2.診療費だけでなく交通費も控除対象になる

この医療費の支出に関しては、一定の条件のもとに交通機関を利用した交通費や、タクシー代などを含めることができます。
一定の条件というのは、具体的には以下のようなものです。

  • 通常、必要な出費であること。
  • 往復した場合には、往復の料金が対象となります。

遠方の医療機関にやむをえず通っているという方は、税金の負担をぐっと安くできる可能性がありますから、医療費控除の申告を行う際には、医療機関を利用するために必要になった交通費についても必ずチェックしておいてください。

以下では医療費控除と交通費について、質問の多い具体的なケースについて解説させていただきます。

2-1.医療費の領収書がなくても良いの?

平成29年分の確定申告(平成30年2月16日~3月15日に行う確定申告)からは、領収書(レシート)の提出は必須ではなくなりました
ただし、「医療費控除の明細書」という書類を作成して確定申告書に添付することが義務付けられるようになりましたので注意しておきましょう。

そのため、いつどのような支出をしたのか?については明確にわかるようにしておく必要があります。
領収書は提出しなくてもかまいませんが、5年間は自宅等で保管することが義務付けられています。

2-2.医療費の領収書についてのこれまでとこれから

「これまでも医療費の明細書を作って確定申告書につけていたけど?」という方もおられるかもしれません。
従来は医療費の明細書は「補助的な書類」という扱いで必ずつけなくてはならない書類ではありませんでした(その代わり、領収書の添付が必須でした)。

平成29年分からは「医療費控除の明細書」として確定申告書類に添付する正式な書類という扱いになっていますから、この書類の添付がない場合には確定申告の内容の訂正を求められてしまう可能性があります(まだ制度としてスタートしていないので何とも言えない部分もあります)。

まとめると「従来は医療費の明細書は任意、医療費の領収書は必須」だったのが、今後は「医療費控除の明細書の提出は必須、医療費の領収書は自宅で保管すればOK」という扱いになっています。
※なお、上の「医療費控除の明細書」は最寄りの税務署でひな形を受け取ることができます(国税庁のホームページからもダウンロードできます)

【参照サイト】国税庁:医療費控除の明細書

2-3.交通費の領収書はどうなるの?

医療 診察

医療費に含めることができる交通費についても、領収書の扱いは基本的には同様です。
ただし、公共交通機関の場合にはレシートが発行されない場合も少なくありませんよね。
その場合には医療費の領収書にメモしておくなどの形で支出した交通費の金額がわかるようにしておけば問題ありません
最終的には医療費の明細書にかかった交通費についても加算するようにしましょう。

なお、スイカやパスモにチャージをした場合には、その全額を医療費控除に含めることはできません(あくまでも医療機関に到達するために必要な実費のみが医療費控除の対象となります)。

3.対象になる交通費/ならない交通費

以下では、より具体的に医療費控除の対象となる交通費と、ならない交通費の具体例についてみていきましょう。

3-1.バス・電車など公共交通機関の交通費はOK

バスや電車、地下鉄といった公共交通機関を使った場合に支出した交通費は、医療費控除の対象となります。
上でも解説させていただきましたが、通常は領収書をもらうことができませんから、医療機関が発行した領収書に出費や経路をメモしておくとよいでしょう。

3-2.怪我をしていたり妊婦など歩行不可能な場合のタクシー代はOK

タクシー代については、どうしても必要な場合にのみ医療費に含めることができます
具体的には怪我をしていたり妊婦の方であったりして歩行が困難である場合にだけタクシー代を含めることができるものと理解しておきましょう。
そのため、一般常識で考えて電車やバスで通うことができる状態の場合には、タクシー代は医療費に含めることができません。

3-3.自家用車を使った場合のガソリン代・高速代・駐車場代はNG

医療機関に通うために自家用車を使った場合、支出したガソリン代や高速道路の料金、駐車場代は医療費控除に含めることができません
医療費控除に含めることができる交通費は「直接必要なもの」で、「人的役務の提供の対価(人間のサービスに対して支払うもの)」に法律上限定されます。

医療機関以外の場所に行くための交通費と明確に分けるのが難しい自家用車に関する支出は、医療費控除には含まれないものと理解しておきましょう。

3-4.お見舞い・親族や付添人の交通費はNG(ただし一部OK)

医療費控除に含める交通費は、お医者さんにかかる必要があった本人に関する支出のみが含まれます。
そのため、通常は必要ではない親族の付き添い、入院している人のお世話をするために支出した交通費は医療費控除には含めることができません。

ただし、本人が通院するのに付き添いが必須である場合(歩行困難である場合や、本人が子供である場合の親)には、付添人が支出した交通費についても医療費に含めることができます。

3-5.地元の病院では病気の判断がつかないため、遠方の病院に行った場合の交通費はOK

高度な治療が必要な病気の場合、地元の病院に紹介状を書いてもらって大学病院を受診するということもあるでしょう。
この場合に支出した交通費(新幹線代、航空機代もOK)については医療費に含めることが可能です(ホテル代などは含みません)

ただし、本人が自主的に遠方の病院等を受診した場合で、通常は近隣の医療機関でも治療可能な病状である場合には、要した交通費については医療費に含めることができません。

新幹線 交通

3-6.実家で出産するため実家に帰省した費用はNG

医療費控除に含めることができる交通費は、あくまでも「医療機関を受診するために要した交通費」に限ります。
そのため、実家でお産をするために帰省したような場合の交通費は医療費に含めることができません。

3-7.往診の医師の送迎費はOK

寝たきりの方などの場合、自宅に医師に往診に来てもらうということもあるでしょう。
訪問診療の請求書には通常交通費の実費が含まれていますが、この費用については医療費控除に含めることが可能です。
ただし、医師に謝礼を渡したような場合にはその出費は含まれませんので注意しておきましょう。

3-8.suicaなどのチャージ代はNG

上でも少し触れましたが、suicaなどのICカードにお金をチャージした場合の費用は、医療費には含めることができません。
医療機関以外の目的地に行くために支出した交通費と区別することが難しいためです。

3-9.遭難した際の捜索費用はNG

山などで遭難した際に、公的な捜索機関(警察や自衛隊)が民間の業者にヘリコプターなどを要請した場合には、捜索費用が発生します(警察や自衛隊が捜索に要した費用については請求されることはありません)。
この捜索費用については医療費控除に含めることができないので注意しておきましょう。

4.まとめ

以上、医療費控除に含めることができる交通費と、含めることができない交通費について解説させていただきました。
遠方の医療機関に通う必要がある方は、交通費を医療費の計算に含めるか否かによって税金の負担額が大きく変わる可能性がありますから必ず計算に含めるようにしてください。

なお、平成29年度分の確定申告からは医療費控除の明細書の提出方法が変更になっていますので、これまで何度も医療費控除の申告を行っているという方も注意しておきましょう。

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