森林環境税の創設により住民税が1,000円アップ予定!

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森林

 1.森林環境税とは

2018年度税制改正において、森林環境税(仮称)という新たな税金を創設しようという動きがあり、検討が進んでいます。
森林環境税とは何か?から確認していきましょう。

1-1.概要

森林環境税は、地方自治体が自ら森林整備事業を行い、その費用を国民1人1人が税金という形で負担しようというものです。その徴収方法としては、個人住民税に1人当たり1,000円上乗せする方向で検討されています。

森林には様々な機能があります。

  • 山崩れや洪水などの災害を防止する。
  • 光合成により二酸化炭素を吸収し、地球温暖化防止に貢献する。
  • 水資源を蓄える。
  • 家や家具などの材料になる。
  • 野生動物の住処となる。
  • 人の安らぎの場所となる。
  • 空気をきれいにし、騒音をやわらげる。

しかし、現在、我が国の森林は林業の衰退などにより、荒廃が深刻化しています。このまま適正な管理が行えない場合には、様々な悪影響が心配されます。

  • 二酸化炭素の森林吸収量目標が達成できず、国際公約が守れなくなる。
  • 山地災害が増加する。
  • 下流部における洪水、浸水被害が増加する。

国土の3分の2にもなる大切な森林を守るために、創設が必要な税金なのです。

1-2.既に多くの県で導入されている

全国の8割に及ぶ37の都道府県と、横浜市が既に似たような税金を導入しています。税収規模は319億円に上ります。

1-2-1.財源額

各団体の2015年度決算額における税収の内訳は次の通りです。単位は億円です。

団体名 個人住民税
(億円)
法人住民税
(億円)
税収合計
(億円)
岩手県  5.9 1.5 7.4
宮城県 12.9 3.5 16.4
 秋田県 3.7 0.9 4.6
山形県 5.4 1.2 6.6
 福島県 9.1 2.1 11.2
 茨城県 14.7 2.7 17.5
 栃木県  6.8 1.6 8.4
 群馬県  6.7 1.6 8.3
 神奈川県 38.9   38.9
富山県 2.8 0.9 3.7
石川県 2.8 0.9 3.7
山梨県 2.1 0.6 2.7
長野県 5.4 1.3 6.7
岐阜県 10.0 2.0 12.0
静岡県 7.9 1.9 9.8
愛知県 18.6 3.8 22.4
三重県  8.7 1.8 10.5
滋賀県 5.4 1.6 7.0
京都府 (6.8)   (6.8)
大阪府 (11.3)   (11.3)
兵庫県 20.1 4.4 24.5
奈良県 3.1 0.6 3.7
和歌山県 232 0.5 2.7
鳥取県 1.4 0.4 1.8
島根県 1.7 0.4 2.1
岡山県 4.4 1.1 5.5
広島県 6.6 1.8 8.4
山口県 3.3 0.7 4.0
愛媛県 4.3 1.1 5.4
高知県 1.6 0.1 1.7
福岡県 11.0 2.7 13.7
佐賀県 1.9 0.5 2.4
長崎県 3.2 0.6 3.8
熊本県 4.0 0.9 4.9
大分県 2.6 0.7 3.3
宮崎県 2.5 0.6 3.1
鹿児島県 3.6 0.8 4.4
横浜市 16.5 9.8 26.3
合計 262 57 319

※京都府及び大阪府は平成28年度から超過課税を実施しているため、税収の欄は平成28年度予算額を記載。(「合計」欄の数値には含めず。)

【出典】総務省自治税務局:「森林環境税(仮称)の検討状況について」資料11ページ「森林環境・水源環境の保全を目的とした超過課税の実施状況」
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/miraitoshikaigi/suishinkaigo2018/nourin/dai1/sankou2.pdf

1-2-2.使途

財源の使い道は、間伐(※)事業と間伐事業以外に分けられます。
※間伐とは、成長に伴って混み過ぎた林の立木を、一部抜き伐りすることをいいます。間伐することにより、残った木が成長していく空間が広くなり、健全な成長と生産物の質の向上をはかります。

事業内容 使途の内容
間伐事業 国庫補助事業
地方単独事業
-森林所有者等への補助により実施するもの
-地方団体が森林所有者等と協定を締結して実施するもの
間伐事業以外 治山・流木対策
松枯れ木等処理
都市緑化、河川等
担い手育成・支援
木材利用促進
森林環境教育
普及・啓発
その他

団体別の詳しい使途については、こちらをご確認ください。

【出典】総務省自治税務局:「森林環境税(仮称)の検討状況について」資料12、13ページ「森林環境・水源環境の保全を目的とした府県の超過課税の税収の使途」
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/miraitoshikaigi/suishinkaigo2018/nourin/dai1/sankou2.pdf

2.森林関連の財源は足りていないのか?

森林を有するのは、どうしても山間部の市町村が多くなります。既に森林環境税に似た税金を導入している地方自治体もあると言えども、人口減少や過疎化に苦しんでいるところも多く、森林整備に十分な財源を手当てできていないのが現状です。

森林 紅葉

3.なぜ、通常の税金の増税ではなく新しい税金を作るのか?

森林環境税は、個人住民税均等割に含めて徴収され、一旦は国の税収になります。それを国が地方に全額配分する形で、地方の財源となるようにします。
なぜ、所得税や消費税などの増税ではなく、森林環境税という新しい税金を創設するのでしょうか?

森林環境税は、新税を導入しても地方交付税が減らない仕組みとなっています。
地方財政計画の歳出に変化がない場合、地方税や地方譲与税が増えると財源不足を補う交付税が減ってしまいます。しかし、新税創設による歳入に見合う形で、森林整備に関する歳出を地方財政計画に盛り込むことで対応できるのです。

また、地方自治体が主体となって実施する森林整備等に必要な財源に充てるため、都市や地方を通じて国民に等しく負担を求める考えが基本であり、個人住民税均等割の活用が妥当となっています。

3-1.2018年度税制改正、所得税が減税されても森林環境税が増えるのなら意味がない?

2018年度税制改正では、所得税における基礎控除拡大と給与所得控除が検討されており、高所得者層以外は減税となる可能性が高くなっています。これに合わせて、この森林環境税や出国税の創設及びたばこ税の増税も検討されています。

出国税やたばこ税は、一律誰にでもかかる税金ではありませんが、森林環境税は違います。日本で所得を得ている人であれば、全ての人に対して一律1,000円が課されるのです。
減税と増税による幅は人それぞれであり、一概に意味がないと言い切れませんが、増税となる人も間違いなくいるでしょう。
森林は必要不可欠なものであり、守っていかなければなりません。国民1人1人が協力し合い、税金という形で負担しなければならないのです。

3-2.なぜ、森林関連だけ特別なのか?

日本には、待機児童や高齢者福祉など他にも財源が足らない領域はたくさんあります。それらより優先してまで、どうして森林環境税を創設するのでしょうか。
結論から言えば、急務だからです。
森林の荒廃は、国民の生活に多くの悪影響を及ぼし、その損失額は計り知れません。
森林が有する機能を貨幣評価額にすると次のようになります。森林は大きな財産なのです。

機能 金額
土砂災害防止機能・
土壌保全機能
表面侵食防止 28.3兆円
表層崩壊防止 8.4兆円
地球温暖化防止機能 二酸化炭素吸収 1.2兆円
化石燃料代替エネルギー 0.2兆円
水源涵養機能 洪水緩和 6.5兆円
水資源貯留 8.7兆円
水質浄化 14.6兆円

また、森林環境税の創設は平成17年度より検討されており、2017年5月時点においては、全国森林環境税創設促進連盟に622市町村、全国森林環境税創設促進議員連盟には348市町村議会が加盟しているほど、創設が求められているのです。

4.住民税に上乗せすることに問題はないのか?

森林環境税は、地方税である個人住民税に定額を上乗せする形で国が課税徴収し、森林保全が必要な市町村や都道府県に「森林環境譲与税(仮称)」の形で再配分する仕組みとなっています。そして配分先の市町村が山林所有者に代わって間伐を行ったり、林業の担い手を育成したりする事業に活用します。
この徴収方法には、2つの問題が考えられます。

4-1.二重課税になる恐れ

既に森林環境税に似た税金を導入している、37の都道府県と横浜市においては新税の導入により、二重課税になるのではないかとの指摘があります。
これに対して政府は、「新たな森林管理システムの下で市町村が整備に携わるための財源に充てられるため、府県の超過課税に取って代わるものではない。」と報告しており、それぞれの地方自治体に既にある税金とはすみ分けるようになります。
よって、名目上は二重課税ではありませんが、県民市民にとっては更に同じような税金が徴収されることに変わりありません。

4-2.都市部の理解

森林環境税は、人口の多い都会から大きな税金を徴収し、地方へ配分する税金です。都会の人々からすれば、自分たちに恩恵のない税金を納めるように思う人も出てくることでしょう。
国民に広く負担を求めるのであれば、森林整備の効果が都市部にも恩恵があるという論理構成と適切な税額の設定が求められます。

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