2017年6月の酒税法改正でビール等の値上げ

★ お気に入りに追加
ビール お酒

私たちの生活の中には様々な税金が潜んでいます。中でも、モノを購入する消費税は誰もが支払っている税金です。

実は、お酒を購入する際には、特別に酒税という税金を収めなければいけませんが、その酒税が大幅に改正されました。その内容について詳しく解説します。

1.酒税とは

1-1.酒税の概要と定義

お酒を作るためには免許が必要となり、許可がなければ作成することができません。これだけでも手間が必要に感じますが、この手間に加えて支払わなければいけないのが酒税です。

酒税は消費者が支払う税金ではなく、お酒の製造者やお酒を販売する業者が支払う税金です。

また、酒税の対象となるのは、「アルコール分1%以上の飲料」と定義されています。さらに、細かく以下の2点のアルコール飲料も酒税の対象となります。

  • 薄めてアルコール分1%以上の飲料とすることができるもの
  • 溶解してアルコール分1%以上の飲料とすることができる粉末状のもの

つまり、そのまま楽しめるお酒以外にも、液体状でなくても1%以上のアルコール飲料となるものは酒税の対象となっています。
ただし、アルコール分が含まれているお酢や医薬品などは例外として酒税法の対象外となります。

含まれているアルコールの割合によって税額が細かく決められています。同じ容量のお酒でもアルコール分が多ければ酒税が高額となるのです。

前述したとおり、酒税は私たちが直接支払う税金ではありません。ただ、その税金分はお酒の価格に含まれて販売されていますので、実質、消費者が負担している形になります。
もし、税額が高額になれば販売価格も今よりも高くなります。ですので、酒税はお酒を楽しむ私たちにとっても非常に重要な税金なのです。

1-2.酒税の対象と金額

酒税の定義によって、対象となるお酒はアルコール分によって細かく決められています。さらに、酒税の対象となるお酒の種類によっても細分化されています。
酒税の対象となるお酒は、大きく以下の4つに分けられます。

  • 発泡性酒類(ビールなど)
  • 醸造酒類(日本酒、ワインなど)
  • 蒸留酒類(焼酎、ブランデーなど)
  • 混成酒類(梅酒、チューハイなど)

そして、これらのお酒は種類ごとに税率が異なっています。一般的なサイズである350mlあたりの税額は、それぞれ以下のように決められています。

350ml当たりの酒税額
発泡性酒類 ビール:77円
発泡酒:46.99円
その他:28円
醸造酒類 清酒:42円
果実酒:28円
その他:49円
蒸留酒類 焼酎類:70円
ブランデーなど:129.5円
混成酒類 合成清酒:35円
甘味果実酒:42円
チューハイなど:28円

チューハイなどのアルコール分が少ないお酒については、特例として以下のような税率が決められています。

  • アルコール分13度未満の(リキュールについては12度未満):28円

この特例は、焼酎など限られた種類にのみ当てはまります。アルコール分が低いお酒は、一律で決めてしまうと税率の割合が非常に高くなってしまうため、こうした特例措置が決められているのです。

日本酒 お酒

1-3.酒税法改正の概要

さて、お酒独自の税金である酒税ですが、2017年4月1日より酒税法が改正されていきます。今回の酒税法改正で変わる部分で押さえておきたいのは以下の4点です。

  1. 酒税品目などの定義
  2. 税率の変更
  3. リベート(販売奨励金)の制限
  4. 地方創生関する免税制度

今回の改正の中で、私たち消費者が覚えておきたいのがこれらの部分です。ただ、改正された内容全てがいきなり適用される訳ではありません。改正項目ごとに適用される日程が決められており、順次改正されていきます。

この中ですでに改正され適用されているのは、1番目の酒税品目などの定義、3番目のリベート(販売奨励金)の制限の2つです。

一見すると私たちに関係のない項目のようですが、非常に重要な改正のポイントとなっているのです。では、どのように私たちと関係しているのか、項目ごとに確かめていきましょう。

2.酒税品目の定義の見直し

定義の見直しの中で、2017年4月1日から施行されている改正内容は焼酎の表記の変更です。今までは「しょうちゅう」とひらがなで表記されていましたが、現在は「焼酎」と感じでの表記へと変更されました。

重要なのが、2018年4月1日から施行されたビール類の定義の変更です。発泡性酒類は、現在、ビール、発泡酒、その他の発泡性酒と分けられていますが、簡単にいうと発泡酒もビールとして扱われることになるのです。

もう少し詳しく説明すると、麦芽比率(ホップ及び水を除いた原料の重量の中での麦芽が占める割合)が50%以上のものをビールとして定義することになります。さらに、果実や香味料の使用量が麦芽の重量の5%以内と決められます。つまり、現状は発泡酒でも、この定義を満たしているとビールとして課税されてしまいます。

また、2023年10月1日からは、リキュールなど他の酒税品目でも、以下の2点を満たす場合には発泡酒として扱われるようになります。

  •  ホップ又は一定の苦味料を原料の一部として使用している
  •  香り、味、色合い、その他の性状がビールに類似すると判断されたもの

つまり、酒税への対策として発泡酒に似たものを他の酒税品目として販売しようと思っても、発泡酒として課税されやすくなります。加えて、その他の発泡性酒、いわゆる第三のビールも、2026年10月1日からアルコール分が10度未満から「11度未満」へと変わります。

現行
品目等 定義 税率
(350㎖換算)
ビール 麦芽・ホップ・水・法定副原料のみ使用
麦芽比率67%以上
77.00円
発泡酒 麦芽を使用 46.99円
新ジャンル エンドウたんぱく・ホップ等を使用
発泡酒(ホップ使用)に麦スピリッツを混和
28.00円
その他の発泡性酒類 その他(チューハイ等)

↓↓↓(税率は2026年10月時点)

見直し
品目等 定義 税率
(350㎖換算)
ビール 麦芽・ホップ・水・法定副原料(一部拡大)のみ使用
ビール 麦芽比率50%以上
(赤字部分は2018年4月1日施行)
54.25円
発泡酒 麦芽を使用
ホップを使用(※現行の「新ジャンル」は全て該当)
その他のビール類似商品(苦味価・色度一定以上)
(赤字部分は2023年10月1日施行)
54.25円
その他の発泡性酒類 その他(チューハイ等) 35.00円

このように、ビールや発泡酒としてみなされる範囲が非常に変わることで、税率や税額も現在と変化していきます。ですので、現在の配分で作られた発泡酒は、改正をきっかけにビールとして販売されるか、販売されなくなる可能性があるといわれています。

3.税率構造の見直し

私たちのお財布に直接影響を与えるのが、酒税の税率の見直しです。品目ごとに大きく変わることが決まっていますので、それぞれの税率の変化を見ていきましょう。

3-1.発泡性酒類

まず、酒税法改正の中でも特に影響の多い、発泡性酒類からまとめていきます。発泡性酒類は、ビール、発泡酒、第三のビールと、それぞれが段階的に変化していきますので、しっかりと税額の変化を把握しておきましょう。

  現在 2020年10月1日 2023年10月1日 2026年10月1日
ビール 77円 70円 63.35円 54.25円
発泡酒
(麦芽比率25%未満)
46.99円 54.25円
第三のビール 28円 37.8円 46.99円
(発泡酒と混同)
54.25円

発泡性酒類の税率の変化は少し複雑ですが、ビールは値下げをしていき、発泡酒、第三のビールは値上げ傾向で変化していきます。また、上記のビールや第三のビールの定義の変更と関連しながら税率が変化していくのも特徴かもしれません。

発泡性酒類の場合、2026年10月1日を目処にこれら3つの品種の税額が全て統合されるような計画となっています。そのため、品目の定義には細かい違いが現れますが、税額としては将来的に変わらなくなるようです。

3-2.醸造酒類

ビールと同じように、段階的に醸造酒類の税額も変化していきます。日本酒類とワイン類、この2つの税額がどのように変化していくのか、確認していきましょう。

  現在 2020年10月1日 2023年10月1日 2026年10月1日
日本種類 42円 38.5円 35円
ワイン類 28円 31.5円 35円

日本種類は値下げ傾向にあり、ワイン類は税額が値上げ傾向にあります。この2種類は2023年10月1日の改正によって税額が統一され、どちらも同じ税率で計算されることになります。この2種は、日本と海外という、生産国の違いが主な違いとなります。どちらも同じ税率にすることで、公平に両方の購買意欲を促す狙いがあるといわれています。

3-3.特例税額

チューハイなどの低アルコール飲料が課税対象となる特例税額。こちらも段階的に税額が変化することが決定されています。

  現在 2026年10月1日 2023年10月1日 2026年10月1日
チューハイ等
(特例税額)
28円 35円

特例税額は、しばらく税額は据え置きですが、最終的には値上げしてしまいます。ただし、酒税の対象となるアルコール分が、現在の8度未満から11度未満へと引き上げられます。

そのため、追加課税が発生しない範囲では、今までよりも濃いアルコール飲料を提供することができるようになります。値上げはどうしても痛いですが、同じ税額で濃いお酒を飲めるようになるのは、嬉しい変化かもしれません。

ワイン お酒

4.リベート(販売奨励金)の制限

お酒、特にビールの販売にはリベート(販売奨励金)と言うものが大きく関わっており、これが販売価格にも直結しています。では、そもそもリベートがどんなものなのか、どのような影響を与えているのでしょうか?

4-1.リベート(販売奨励金)とは

ビールの販売方法として、リベート(販売奨励金)というものが使用されています。これは、生産している企業が小売店に支払っているお金で、このお金が元手となり小売店では通常の価格よりも大幅に安い金額で販売できようになります。

価格を安くするほどビールは売れますが、当然小売店にとってはビールによる利益が少なくなります。
そこで、たくさん売って欲しいメーカーが小売店にリベートを支払うことで、安売りによる損失をある程度補填していたのです。つまり、仮に赤字が出るほど安くしても、リベートによって利益が出る仕組みとなっています。

よくスーパーなどでビールが驚くほど安く売られているのはこのリベートがあるからです。メーカーは多く生産し販売でき、小売り店は損失を抑えながら、目玉商品としてお客を集めることができ、他の商品を購入してもらうことでより高額な利益に繋がります。このWin-Winの関係がリベートによって保たれていたのです。

ですが、今回の酒税法の改正によりこのリベートが制限されました。きちんと光熱費や人件費などを考慮した適切な価格で販売するように新しい基準が設けられたのです。

4-2.税額改正による価格の影響

さて、リベートという売上に大きく関わるものが規制されたビール。その一方で、酒税の減税によって価格が下ることが期待されています。では、実際の価格はどのように変化しているのでしょうか?

ビールの価格推移を見てみると、2017年6月を境に大きく値上がりしています。ブランドなどにより価格のばらつきがありますが、350ml缶の1ケース(24缶入り)が6月以前は4,000円前後でしたが、6月以降は5,000円以上と1,000円程度値上がりしているのです。

この背景には、ビールの酒税がまだ減税されていないことだけでなく、上述したリベートの規制が大きく響いています。今まではリベートにより損失が補填できましたが、現在は損失がそのまま自社の損失となります。

同じように赤字になるような価格で販売していたら、本当に経営が傾いてしまう危機が訪れてしまいます。そのため、リベートの規制が行われた2017年6月を境に、各ビールの価格が値上ってしまったのです。

また、今までのようにリベートを活用すると、メーカーが販売停止などの厳しい処分が下されることが規制の中に含まれています。その結果、メーカー側が率先してリベートをやめてしまったことが、大幅な値上げに繋がったと考えられます。

4-3.リベート規制の背景

消費者にとってビールの値上がりは深刻な問題ですが、この規制には小売店を守るために設けられたという背景があるのです。

実は、リベートにによる販売促進は、大量に販売できる小売店ほど支払われるという格差がありました。大型スーパーでは必要以上に安く売れる一方で、個人で営む酒屋などでは通常価格でしか販売できませんでした。

もちろん、消費者は安いところで購入しますので、個人店では売れ行きが悪くなり、販売数がさらに減少してしまうという負のスパイラルに陥ってしまいます。そこで、リベートを規制して、どこのお店でも同じような価格で販売できるように整備し直したのです。

そのため、値上がりのための残念な制度と思われるかもしれませんが、今までのほうが少し異常な販売方法・価格だったのだと考えましょう。

5.地方創生に資する制度改正

酒税法改正の最後のポイントが、地方創生に関する改正です。この改正は私達にはあまり関係がない部分なのですが、日本の名酒を守るためには非常に重要なポイントとなっています。

ふるさと納税などで日本の各地域の地酒が注目されるようになりましたが、日本では全国のさまざまな場所で美味しいお酒が作られています。現在では、日本酒を海外へ輸出する酒蔵も増え、世界的に日本のお酒の美味しさが注目されています。

そこで、日本を訪れた海外の旅行客が日本の地酒を購入しやすいように、酒税の減免制度が設けられたのです。これは、小売店ではなく、酒蔵やワイナリーなど、製造元で販売したお酒のみが対象となり、消費税に加えて酒税も免税対象となります。

酒蔵

この制度により税収は減ってしまいますが、訪日外国人が安く購入できるようになり、多く販売できれば製造者にとっても大きな利益となります。また、日本の魅力をアピールする材料にもなり、税収以上のリターンが期待できるのです。

この制度が施行されるのは、2017年10月1日からです。今後、私たちが普段購入している地酒が手に入りづらくなる可能性もありますので、素敵なお酒を見つけたら売り切れる前に購入しておくことがおすすめです。

6.消費税の軽減税率は対象外

お酒には、今まで説明した酒税の他に、当然ながら消費税も含まれています。

2019年10月1日より消費税は10%に増税され、その代わり、飲食料品は軽減税率8%に据え置かれますが、お酒に関しては軽減税率の対象外となり、税率10%になります。

詳しくは、こちらの姉妹サイトをご覧ください。

【関連姉妹サイト】消費税・軽減税率情報Cafe:軽減税率の対象、飲食料品の範囲はどこまで?

GoogleAdsense

この記事が役に立ったらシェアしてください!

あなたへおすすめの記事